歯の話

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遠隔促通(えんかくそくつう)

重いものを持ったり、中々開かない瓶のふたを力を込めて開けようという場面では、誰もが食いしばると思います。みんなごく普通に自然にやっていることですが、改めて考えてみると不思議な気がします、だって力を出す筋肉と咬む筋肉は直接何も関係ないのですから…。

力仕事だけでなく、スポーツの世界でも、歯医者で奥歯を直したら成績が上がった、といった経験則から、かみ合わせによって身体のパフォーマンスが上がることは昔から知られていました。今はかなり研究が進んで、かみしめに限らず、ある筋肉が緊張することで、直接関係のない離れた場所の筋肉運動が向上することが分かっており、「遠隔筋促通効果(えんかくきんそくつうこうか)」とか、「遠隔促通(えんかくそくつう)」と言われます。

ただ、良い事ばかりでもなく、食いしばったことで歯が割れてしまったり、顎関節症を引き起こしたりなど、歯や顎関節などの損傷につながってしまうこともあります。またスポーツでは余計な筋緊張を呼ぶとも言われます。また、遠隔促通はほとんどの場合、意図的にやめることができないのです。

ちなみに、プロ野球で舌を出してプレーする選手がいます。これは先の「余計な筋緊張」を避けるためで、意図的にやめられない遠隔促通を、舌を出すことで強制的に起こらないようにしているわけです。
最近では一流のアスリートはくいしばらないとも言われており、上記のように上下の歯を接触させないようにしたり、マウスピースなどでかみ合わせをケアするなど、遠隔促通を適切にコントロールすることが求められてきています。もちろん種目にもよるでしょうし、個人差もあるでしょうが、今後はかみ合わせも考慮したスポーツ指導が必要だという声もあります。

さて、多くの人が知らずに日常的に行っている遠隔促通。悪い面もあるけれど、「よいしょ!」と力を出す時には間違いなく必要なものです。そしてその必要性は年齢とともに増加します。
誰しもいつか病気や高齢になって身体能力が低下する時が来るでしょう。そうなると立ち上がったり座ったり、そんな日常的な動きにも「よいしょ」という掛け声とともに遠隔促通が必要になります。でもその時奥歯がなかったら…。
いつか本当に遠隔促通が必要になったときにちゃんと咬めるように、普段からきちんとした歯みがきを実践して歯を残し、また入れ歯等で咬める状態にしておくことを心がけましょう。


令和7年9月
蒲郡市歯科医師会  中澤 良


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