歯の話

こどものお話

「生え変わる」の謎

乳歯が永久歯に生え変わる、この「生え変わる」という言葉。なぜ「代わる」ではなく「変わる」という漢字が用いられるのでしょう? 単純に考えて、乳歯と永久歯が交代するのだから「代わる」で良さそうなものですが、実は「変わる」である理由があります。

その大きな理由は歯数です。乳歯は全部で20本なのに対し、永久歯は28本、親知らずまで含めると32本あります。永久歯の方が数が多いという事は、入れ代わるだけでなく新たに加わる歯があるわけです。
ひとくちに永久歯といっても乳歯と交代して入れ代わる「代生歯(だいせいし)」と、新たに生え加わる「加生歯(かせいし)」があります。分かりやすく言えば永久歯は交代メンバーだけでなく新加入のメンバーもいるわけですから「代わる」には当たらないわけです。

また、歯自体の色や形、大きさ、硬さなど実は別物と言ってもいいくらい両者は様々な点で違っていて、同じ「口の中にあってものを咬むためのもの」ではあっても似て非なるものなのです。このことからもやはり「変わる」の方がふさわしいと考えることが出来ます。

さらに機能的にも、乳歯が生えることで発音が育まれ、大人と同じものが食べられることで「食生活」が形成されます。また咬むことで顎や咀嚼筋の発育が促され、その結果顔貌が整う。こういった人としての極々基礎的な要素が養われるのは最初に生える乳歯だからこその働きと言えます。
そして永久歯は乳歯が養ったそれらの機能を維持します。しかしその期間は乳歯に比べ圧倒的に長く、ヒトの一生の大半の期間であり、その間中「咬む」という行為を支えるわけですから、その存在意義はやはり大きいものです。

「同じ歯でしょ。」と考えられがちな乳歯と永久歯。「生え変わる」という言葉に「変わる」という漢字をあてた理由を考察すると、そこには両者が別物であり、単に入れ代わるだけではなく、それぞれに役割を持った器官であるという事実が見えてきます。

(令和4年3月 蒲郡市歯科医師会 中澤 良)


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